企業の採用担当者の方から「いい適性テストがあったらご紹介ください」とか「面接の質問項目や評価シートのフォーマットはありませんか」というお声をいただくことがあります。しかし、学生の「何を見抜きたいのか」が明らかでなければ、テストや試験を選ぶことはできません。また、同じ理由で、面接での質問項目や評価シートは、フォーマットではなく企業オリジナルのものでなければならないのです。
★求める人物像が言語化できたら評価方法を先に決める
採用計画を立てるとき、ナビや合説やメールDMやオープンセミナーや会社説明会について決めることを優先して、選考や面接についての詳細決定は最後になることが多いのですが、それは間違い。求める人物像を設定したら、次に評価方法と合格ラインを決めます。そうすれば、その合格ラインをパスする人(ターゲット)はどこにいるのかが想定でき、どのナビや合説を利用するかが決まります。また、その合格ラインをパスする人向けの広報(ナビの原稿や説明会でのプレゼン、ツールの内容など)を決めることができるのです。
★評価方法の設定法
評価方法を決める方法は下記の通りです。
1. 求める人物像の要素を整理・分類する
2. どんな手法でそれを診断するかを決定する
3. 診断ツールを時系列に分類する(一次選考、二次選考など)
4. テストやグループワークの内容を作る
5. 面接評価シートを作る(チェック項目や面接時の質問例も記入)
6. 各項目の合格ラインを決める
詳しくは以下のように決定します。
- 求める人物像の要素を整理・分類する
求める人物像の言語化で洗い出した要素を箇条書きにして、行動特性ごとに分類し、優先順位(この能力は絶対はずせない、この特性は、あればなお良い程度など)をつけます。職種や部署ごとに求める人物像が違う場合は、それも分かるようにしておいてください。
- どんな手法でそれを診断するかを決定する
例えば「忍耐力」という能力要素を評価したい場合、目の前にいる学生に忍耐力があるかどうかをどうやって診断するのかを考えます。能力テストや性格テストを利用してもいいし、忍耐力が必要な作業をさせてみてもいいし、面接で忍耐力があるかどうかを確かめる質問(忍耐力はあるほうですか?と直接聞くのではなく、学校やアルバイト、部活やサークルでのエピソードから引き出す)してもかまいません。求める人物像の全ての要素を、「これはこのテストで」「これは面接の質問で」「これはエントリーシートで」「これはグループワークで」「これは面接のときの態度や受け答えを見て」など、手法を割り当てます。1つの能力要素を2つの方法で見てもかまいません。例えば「行動力」を、テストで測った上で面接でも診断するなど。
- 診断ツールを時系列に分類する(一次選考、二次選考など)
2.で分類したものを面接なら面接、テストならテストで集めて、どの段階でそれを実施するのかを決定します。※1つの能力要素が複数の段階にまたがる場合もあります。
- テストやグループワークの内容を作る
テストは、必要な能力要素が診断できればいいので、妥当なテストを選択します(または自作します)。グループワークで診断する場合は、どんなワークを実施すればその能力要素が診断できるかを考えます。エントリーシートから読み取る場合は、何を書かせればその能力要素が診断できるかを考えます。
※★採用計画策定キットの中に、何度でも何名にでも自由に使える能力テスト(能力診断、行動特性診断、モチベーション診断)が入っています。採用時のアセスメントとしてはもちろん、自社のハイパフォーマー分析にも使えます。
- 面接評価シートを作る(チェック項目や面接時の質問例も記入)
面接で診断する能力要素の項目を評価シートに書き出し、それぞれの能力を測るための質問を複数用意してシートに書き込みます。また、5段階評価が記入できる欄も作っておきます。面接シートには、テストやグループワークやエントリーシートで測った能力要素も書き込み、5段階評価に落としておきましょう。
※★採用計画策定キットの中に面接シートの雛型が入っています。
- 各項目の合格ラインを決める
1.で設定した優先順位にあわせて、項目別に5段階評価の合格ラインを決めておきます。
求める人物像と評価方法が決まったら、いよいよ具体的な採用広報の計画を実施します。
まずは採用コンセプトの設計からです。